But if you look twice, You can see it’s all lies

漫画やドラマその他の感想など自分考察用メモ。すごいネタバレします。

ドラマの感想をかくよ。〜Nのために

ずっと書きたいと思っていて、でも書ききれなくて延ばしてしまったけど、人にこのドラマを薦める機会があって見返したらやっぱり美しくて筆を走らせたくなってしまったので書きにきました。走らせているのはキーボードの上の手指なんだけど(笑)半年以上前に初見でNのためにをみたときに衝動的に書いたものは途中で書いたものに書き足していきたいと思います。※例によってネタバレするし私の解釈での話をします。

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 たまたま大河での平重盛の演技が素晴らしすぎてすごく好きな俳優さんである窪田くんのA-Studioをみて気になったNのために全10話を週末にみました。。2014秋ドラマ。今期あんまりドラマ見るものがなくて、うーんって思ってたんだけど前期にこんな作品があったなんて驚きでした。いや知ってたけど、ネタバレ気になっちゃうからこういうミステリーのドラマって苦手で見なかっただけなんだけど。

登場人物の名前に『N』がつく、つまりすべての人間がそれぞれの大切な『N』のために行動した結果に起こった悲劇のある殺人事件をひとりの定年になった警官がひも解いていくところから物語がスタートします。原作ではこの人出てこないらしいんだけど、物語のストーリーテラー的な役割を果たしているので実写には必要だろうなあとおもいます。

ここから下が今日書き足すところです、しかし我ながら文章を書くことに飽きるの早すぎるw

物語に出てくるのは同じ島出身の杉下希美と成瀬慎司、そして杉下が上京して住んでいたのばら荘で出会った安藤望と西崎真人、そしてその野ばら荘を守る為に実行したN作戦で出会った野口貴弘・奈央子夫婦であり、物語を通してその登場人物が関係している10年前のある事件の真実ををひも解いていきます。事件とは野口貴弘が妻を殺し西崎が貴弘を殺した、という事件。登場人物すべてに『N』のイニシャルがあり、その"『N』のために"全員が愛を貫き通したからこそ10年が経ちそれぞれが10年をそれぞれの形で迎え2014年になります。

このドラマの美しいところのひとつはそれぞれの愛の形です。奈央子は野口夫婦(N)のために死を選択し、西崎は奈央子(N)のために罪を被り、成瀬は希美(N)のために何も聞かず何もしゃべらず、杉下は安藤望(N)のために真実をしゃべらない。正しくはないかもしれない、でもそれを突き通す姿がただ美しかった。奈央子はお互いに依存していた自分たち夫婦を2人きりにさせたいために死を選択。西崎は最後に奈央子がいった「ひどいことしてごめんね」という言葉が自分を虐待していた母親を思い出させ、奈央子を犯罪者にさせたくないという愛と子供の頃見殺しにしてしまった母親への罪を償い現実を生きるために罪を償うことを選択。成瀬は過去に何も聞かず何も言わず自分をかばってくれた希美のために過去の希美と同じようにすることを選択。杉下は自分を高いところに連れて行ってくれた安藤望の将来を壊さない為に行動することを選択。安藤は本当のことを最後まで知りません、彼は自分がやったことを悔いながらも杉下にとってのNとして出世をし10年の間世界中を飛び回り完璧じゃなくてもやりたいことをやって、最後には杉下の行動の意味も理解する。それぞれがNへの愛のためにやったことは10年経った2014年でしっかり浄化されていて、いびつであったとしても最後までそれぞれのNのために生きているのが綺麗で素敵でした。

人が何かを隠すのはやましいことがあるからやと思ってました
誰かを守るために無心に嘘をつく人間もおるんですね(高野)

 もうひとつは杉下の究極の愛のかたちです。物語の中で杉下をめぐる恋愛模様は安藤と成瀬の2人とのものが描かれていて、杉下はそれぞれに愛があったと私は思うのですが、その矢印の方向性がこの物語の愛を決定づけてたなあと。事件の日、安藤は野口夫妻の家のチェーンをわざとかけます。それは杉下の究極の愛の形への嫉妬からと彼女に自分を求めてほしかった、なにかがあれば成瀬ではなく自分に助けを求めてほしかったからです。しかし実際はそうはならず、杉下は成瀬に「助けて」と言うのです。2014年、西崎と安藤が居酒屋で話していたとき「もしも杉下が自分に助けを求めたらどうするか」と安藤に問うと安藤は「杉下は簡単に助けてなんて言わない」と言っていました。事件のときもそうですが、杉下にとって安藤は「助けてあげたい、幸せになってほしい相手」であるからこそ安藤の為に事件に関わらせるような発言は一切しません、しかし成瀬は杉下にとって「助けてほしい相手」なのです。杉下は2014年、病気で長く生きられないと診断されていてそのことを西崎にははなしています。西崎は安藤の気持ちも知っていましたが、杉下の病気の話を杉下の助けたい相手の安藤にすることはせず助けてほしい相手の成瀬に話します。たしかに安藤にも愛はある。それは成瀬も「あの日杉下が考えていたのはあなたのことです」と言っていたし、たしかにあの事件での杉下のNは安藤望なのです、それは間違いありません。ただ杉下にとっての究極の愛は「罪の共有」でその相手は成瀬であり最後のシーン、余命長くない彼女のそばにいるのは彼女にただ一緒にいることを提案した成瀬です。

いろんな形の愛があるのだと確認したし愛の形は美しいけどそれだけではなくて、ドラマ全体を通してあった“すべてを語らない・肝心なことは語らない”感じがとても日本らしかった。物語の運び方も景色も音楽の入り方も主題歌も台詞もそこにかかれていない展開もすべて、全体の演出が美しくてそれ以外の言葉が出ない自分の語彙のなさに戦慄してつらい。ただそこにあるものがすごく綺麗でそこにただただ魅せられたって感じ。窪田くんの演技はすばらしいし、彼がだす独特の悲壮感、孤独感などを感じさせる台詞運びも本当にすごくてあらためて役者としての窪田くんが本当に好きになったんだけど、榮倉奈々ちゃんが本当によかったなあ。彼女、そんなに演技が上手い方でもなかったと思うんだけど、Nのためにみるとなんか印象が変わる。出てくる俳優さんにえ?ってなるような人が(記憶では)ひとりもいなかったのが素晴らしさに拍車をかけてる。

青景島編も東京編も書いてないだけでいろいろ美しいところありました。楽しい気分になったり起承転結で楽しませてくれたり何かを教示するドラマでは決してないけど、純愛ミステリーって言葉がぴったりの間違いなく近年のドラマで五本の指に入る良作です。主題歌買うとか何年ぶりなのかわからないけどやってしまったよね〜うける。というかひるなかの番外編まで読んでの感想とかコナン映画などいろいろの感想とか書きたいのにこれに時間費やして労力使った...そのうち書きますね。(半年後とかもありえる)

 

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